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建築家・飯沼竹一のブログです。暮らしや住まい、家や建築、街などを通して見聞きしたこと、日々感じたこと、考えたことなどを気儘に手記にしています。四方山話も含めて呑気に続けて行こうと思います。 ご意見ご感想などお願いします。
耐震強度偽装事件はまだ終わらない
070208mori.jpg

ここに来てようやく、構造計算書偽造事件のもう一つの大きな疑惑の解明に向け動き出したらしい。
これまで、ほとんどのマスコミが報道せず、疑惑の追求がなされてこなかった水落建築士が係わった疑惑である。
国交省の発表によると、彼が代表を務める田村水落設計という構造設計事務所が関与した物件数は168件で、現在全ての物件について調査中らしい。
姉歯物件と同様に一設計士や検査会社に責任持たせて幕引きにならないよう願うと共に、どこまで解明できるか見守りたい。
また、この水落氏は(社)日本建築構造技術者協会(JSCA)の会員であり、構造設計業界、建築界で、更なる大きな波紋と影響を呼ぶことになるであろう。

今回問題になった京都市内のホテル2棟はAPAホテルの所有物件である。実はこのAPAグループの中核企業のAPAマンションの物件では、一年前に首都圏の2つの工事中物件での構造計算書偽造の疑いを告発されていた。
告発したのはイーホームズの藤田東吾社長である。

さらに、この問題は、民主党の馬淵議員が昨年6月に国会において、当時の北側国交大臣から偽装であるとの答弁を引き出している。
それでもほとんどのマスコミがこれまで報道しなかったのは、やはり、APAグループの背後関係の大きさから腰が引けていたからだと考えるのはごく普通のことだ。
APAホテル女性社長の会見などを見るにつけ多くの疑問を持ってしまうし、やっぱり隠蔽や情報操作があったんじゃないかと穿った見方をしてしまう。 だから尚更、この国会が始まる時期に国交省と京都市が発表したことが、どういう意味を持つのかを考えてしまう。

本来、構造設計者は耐震強度1.0(下記参照)を満足させるだけでなく、ある程度の余裕を見て設計しているはずである。
私などはその余裕を如何に少なく出来るかが構造設計者の力量だと思っている。もちろん自分たちで設計した建築が地震によって崩壊するなんていう、自虐的な発想はない。
姉歯氏にしても、水落氏にしても、自ら設計した建築が崩壊することがあり得るということに、思い浮かばなかった、あるいは無視したのか、とても理解できない。

tokyo02.jpgまぁ、どこの業界でも悪徳○○はいるもので、これまで性善説からか話題にならなかっただけなのかも知れない。
もしかしたら、姉歯事件後もバレなければ構わないという設計者がいるのかもしれない。
構造躯体(建物の骨組み)が他よりも安くできて発注者が喜んでくれる。だから次の仕事も受注できる…
そのうち感覚が麻痺して倫理意識が欠如してくる…       
発注者と自分の利益のために、多少の違法 (もしかすると違法とは思っていない…)も厭わない。                  
その様なモラルを欠如した設計者が増えているのではないか…もしそうだとしたらやりきれない。2006年11月22日付けのエッセイ参照
このように一部の発注者の顔色だけを見て仕事を続けていくと、何れこの業界は廃れてしまい、ゼネコンなどの設計部門に飲み込まれてしまうだろう。

やはり、我々一人一人が出来ないものは出来ないと言える、断る意志が必要である。
少なくともこのくらいのポリシーを持たねば、本当の信頼回復を取り戻すことは出来ない。


 
                       
馬淵議員のブログ  http://www.election.ne.jp/10679/archives/0005074.html#comment
 日経住宅サイト http://sumai.nikkei.co.jp/special/gizo/index.cfm?i=2007012503983s8
 きっこのブログ「藤田社長からの緊急メッセージ」 http://kikko.cocolog-nifty.com/kikko/ 



※耐震強度という言葉は建築基準法などで存在しない。
それに見合う語として、保有水平耐力というものがある。以下簡単に説明。
 震度6強の地震でも倒壊しない(一部破損しても人命に被害が及ばず、自力で避難できる状態)強さを、必要保有水平耐力Ounと言う。これは建物の固定荷重や積載荷重、高さや建物の形状、建設場所によって決まる。
これに対し、建物の地震に対する強さを保有水平耐力Qnと言う。この数値は柱や梁、壁などの個々の部材の性能によって算出する。
建築基準法では、ある程度規模の大きな建物は、構造計算を二次設計までを求めている。 つまり、全ての階で
Qn/Oun≧1.0を満足することとと定めている。
ちなみに 市庁舎や学校などの情報管理する施設や避難施設になりうる公共建築物は、この値が1.25で設計されているものが多い。消防署は1.5である。

今回京都市が公表した弱いところで7約0.7~0.8というのは、このQn/Ounのことである。法定基準値を下回っているのだから、安全な建物とは言える根拠がなく、1.0以上あるように構造計算書を偽造したのだからその責任が問われて当たり前なのである。


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2007/01/27(土) 23:06:02 | | #[ 編集]
アパ
ウチの最寄駅前(八千代緑が丘)にはアパのマンションとホテルが並んで建ってます。くわばらくわばら。
でも私の職場も高層ビル建築中で、再来年にはそちらに移転なので、耐震強度はしっかりしてもらわないと!!!!
2007/01/29(月) 09:43:14 | URL | わに #-[ 編集]
またですよ!(-_-)
わにさんが心配される様に、またもや皆さんから「…大丈夫ですよね?」と聞かれる機会が増えそうです。(苦笑)
どうせ大地震が来れば偽装物件だろうが古い建物だろうがたくさん崩壊してしまえば分からなくなる。その前にバレなければOK!っていう考えがあるのでしょうか?…本当の話ならモラルとかの違法とか言う前に外道ですね!(怒)
2007/01/29(月) 10:35:31 | URL | takezo! #-[ 編集]
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