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建築家・飯沼竹一のブログです。暮らしや住まい、家や建築、街などを通して見聞きしたこと、日々感じたこと、考えたことなどを気儘に手記にしています。四方山話も含めて呑気に続けて行こうと思います。 ご意見ご感想などお願いします。
いすみ市商工会での講演
先日、いすみ市商工会の岬支所の建築セミナーで、「建築基準法の改正と請負責任」というテーマの講演をした。

いすみ市は、千葉県の房総半島南東部に位置し、千葉市から約45km圏に位置する。一昨年に、岬町、大原町、夷隅町の三町合併により新しく誕生した市である。

実は一昨年前にご縁があり、旧岬商工会の同セミナーで、「耐震強度偽装問題に端を発した業界の問題点と今後の対応や展望」というテーマで講演させていただいた。あまり誉められる講演でなかったと思っていたが、有難いことに再度のオファーをいただいた次第。
セミナーに参加される方々は、概ね工務店、宅建業・不動産会社などの経営者、設計者など。
今回の講演内容は、まさに今後の死活問題にもなりうる話である。

昨年12月の半ばに商工会からお話しがあり、年末の中の忙しさもあって、講演内容や資料作成が年明けになってしまいドタバタした中で当日を迎えることとなった。

①.H19.6.20 建築基準法関連の改正の概要
②.建築基準法関連の改正のスケジュール
③.法改正による官製不況等と呼ばれる影響について
④.H19.11.14 新しい建築確認手続きの要点について
⑤.住宅瑕疵担保法の概要
⑥.今後の展望 

こんな6つの項目にそって、参加者の方々にとって必要な情報になるであろう内容をお話しした。
特に、この中で、地場の工務店や宅建業者に今後大きな影響を与えそうなのが、建築確認申請の「4号特例の見直し」と、上記の住宅瑕疵担保法の施行である。

4号建築物とは、木造2階建て住宅のような小規模の建築をさし、これまでの確認申請では、構造設計を明示しなくてよく、多くの欠陥住宅の原因にもなっていた。
来年予定される改正では、構造関連の設計図の提出や計算の根拠が求められ、これまで以上に確認申の審査・検査が厳しくなる。工務店などの設計施工場合、その設計図は確認申請に必要な図面程度しか作らなかったので、今後は下請け設計士による申請図書の代願などが簡単にできなくなると思われる。

住宅瑕疵担保法は、来年10月より、一戸建て、マンションなどの住宅を販売、建設する宅建業者や建設業者などに、保険や供託の仕組みを活用した資力確保の義務づける法律で、構造に欠陥のある住宅を引き渡した業者が倒産したような場合でも、10年間は保険金や供託金から被害者の救済が図られるようにする仕組みである。

2項目とも消費者にとっては、有難いことである。私も賛成の立場である。しかし、その費用負担は誰がとるのかは今のところ分からない。

以下、講演の一部内容を抜粋記載する。

これまでの、関連法案の改正。そして今後予定される制度の強化と運用の厳格化。
これは、建設・不動産業界に向けた一種の構造改革とも言えるようです。

今回の法改正によって、混乱と住宅や建築の着工が減少することは、ある程度予想できたはずです。
それでもあえて、準備不足でも改正を強行したした裏には、建設業者、工務店、ハウスデベロッパー、設計事務所まで含めて、体力・技術力のない組織の淘汰を促し、業界全体の活性化を狙った意図を感じます。

建築確認制度の厳格化+消費税率のアップ+瑕疵担保保証のトリプルパンチです!そして人口・世帯数の減少、都市部への人口移動、耐震性・耐久性・省エネ性能などの高性能住宅への発展、同業者間の熾烈な受注競争…
この建設業界に明るい展望はしばらく有りそうにない。
しかし他の成熟産業は一足早く競争の激化に晒され、業界再編を通ってきました。建設業界は自民党の票田でもあった事情もあり、遅れてきましたが、それでも他業種同様避けて通れなくなりました。
といっても坪単価30万円、40万円のローコスト競争を、ハウスメーカーを相手に、地場の工務店や宅建業者がまともに挑んで勝てる見込みはないでしょう。

私どもが今、佐倉市で手がけている木造住宅は、施工を市原市の小さな工務店にお願いしました。この工務店は、家族が中心の従業員10人に満たない会社ですが、木造住宅を作ることに対して研究熱心で、費用対効果が分かる家づくりをしているようです。口コミで評判が広まり、この3,4年は継続して1年先まで物件が入っている盛況で、毎月2棟くらいの建て方があるようです。
無垢材にこだわり、自社でも木材の自然乾燥を手がけるほどです。そして左官工事による仕上げも大切にしているので、健康志向のお客のニーズにも合っているようです。
この工務店場合でも、ほとんどが自社の設計施工らしいが、今回の私どもの設計する住宅を請け負った理由は、次世代省エネ規準に合致させた公庫のフラット35Sや、深夜電力利用の電気蓄熱スラブ板を設けた床下暖房システムなどの仕様を持った物件で、今後の展開を模索したかったからだと推測しています。

やはり、地場の工務店や宅建業者が生き残るためには、一つの考え方として、他社とは違う「住まいづくり」を創意工夫することだろうと思います。
そして、安心・安全はその会社のスローガンでなく、実績としてPRすることが必要です。
会社の規模の大きさに関わらず、やはり企業の理念、経営方針、財務などを情報開示し、クリーンな会社であることをアピールし、安全・安心を発信する会社にすることが肝要だと思います…。

結局、 工務店、不動産会社の経営者の方々にハッパを掛けることになった。それは、自分に対する「カツ!」でもあった。(苦笑)



岬町の太東岬から御宿方面をみる。
水洗の独特の香りを嗅ぎ暖かい地域であることを再認識した。
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コメント
この記事へのコメント
お疲れ様でした
講演会だなんてすごい!ですね。

自転車ネタですが、太東岬の灯台への登り坂はすごかったでしょ?あそこ自転車で登ると死にますよ?私はまだ途中で足を着いてしまいましたが、またリベンジしたいと思っています。一緒に行きましょう!
2008/01/15(火) 00:17:36 | URL | 房総族 #-[ 編集]
ありがとうございま~す♪
房総族さま

灯台への上り坂ですね。意外と長くて急坂だから確かにきついでしょうね!
この2ヶ月ほどまともにチャリに乗ってません…(T_T)
ですから、房総族さんと一緒にツーリングはとても無理です…付いていけませんって!(^^;

2008/01/18(金) 10:34:07 | URL | takezo! #-[ 編集]
ガッツだぜ!
TAKEZOさま、こんにちわ。
探究心旺盛な工務店の様ですね。
なかなか最近は見かけられない施工業者さんの様です。
きっと良いモノを作られる事かと・・。
ハウスメーカー相手に喧嘩は売れないですねぇ・・。安かろう悪かろうって感じだし、土俵が違いますしね・・TAKEZOさんとは!
「安く良い物を提供する」コレって基本的な理念なんでしょうけど、安いってのは、見合いの事なんで、限度ってのが有ると思うんです。
良く建て主は、坪あたり○円で出来るだろって言ったりしてますけど、根拠の無い数字ですからね・・・。
まぁ良い物を出来る限り安く提供して、芽が出るのを、暫く踏ん張って頑張りましょう!
う~ん・・・涙が出てきた・・なぜかしら?
2008/01/21(月) 18:21:12 | URL | SIN #-[ 編集]
とっても難しいですわ!
SINさん

>…安いってのは、見合いの事なんで、限度ってのが有ると思うんです。…

まさにそうですね!根拠のない安いモノなんて住まいに係わらずあり得ませんから。
やはりバランスだと思います。
住まい手である施主にコストの意味をもう少し理解してもらう。そして我々作り手は、そこそこの利益を得て住まいを提供できることに喜びを持てれば良いな。って、甘い考えを持っています。(^^;

2008/01/22(火) 19:53:13 | URL | takezo! #-[ 編集]
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