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建築家・飯沼竹一のブログです。暮らしや住まい、家や建築、街などを通して見聞きしたこと、日々感じたこと、考えたことなどを気儘に手記にしています。四方山話も含めて呑気に続けて行こうと思います。 ご意見ご感想などお願いします。
仮設住宅を知っていますか
昨年は仮設住宅についていろいろと勉強する機会がありました。

震災2か月後には建材メーカーから直に設計の相談を受けたこともありましたが、これは依頼者のビジネス要素が強くて、お断りしました。
その後、UIA(世界建築家会議)に参加する上で、「UIA住宅会議」のWGメンバーとして末席で係り、その中で「仮設住宅」も取り上げることになり、私が展示パネルをまとめることになりました。

この度、その経験からJIA(日本建築家協会)関東甲信越支部会報誌Bulletin上でコラムを執筆しました。
掲載ページをPDFにてWebsiteにUPしてあります。


Bulletin vol.234(2012年3月号)特別コラム

意外と知らないことを簡潔にまとめてあります。
是非一読いただければ幸いです。



仮設住宅
プレハブ協会による仮設住宅(宮城県名取市)

仮設住宅
木造の戸建て仮設住宅(岩手県住田町)

写真撮影:鈴木利美(ダンス建築研究所)さん




by takezo! http://www.atelier24.jp
千葉、東京で住宅設計を行う建築設計事務所



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こんなマンションデベロッパーはもう要らない!
首都圏、それも東京都区内においては、いまだ分譲マンションの販売価格は高値で推移しているようだ。
だが、数年前より分譲マンションは供給過剰であることなど周知の事実である。
ところが、近年土地価格の高騰などから、都市近郊で分譲マンションの建設が縮小どころか拡大してるのはなぜなのだろうか?





今年に入り、千葉市内でも新築分譲マンションの販売不振が顕著になってきているように感じる。

2年前、あるマンション建設に際して、近隣住民の依頼で建設に関する千葉市の調停に関わったことがある。
その物件はJRの最寄り駅より徒歩20分ほどの位置に計画されたものだが、専有面積を小さくし、販売戸数を増やして価格を抑える従来の企画のようであった。
何度かの折衝において、私は「駅近じゃない物件で、敷地にも建物にも余裕がない計画では、売れないのでは?」と訪ねると、…「当社では市場マーケット調査をしっかり行い、事業として充分成り立つと考えて計画したものですから、ご心配には及びません…」と、大手企業のデベロッパー営業担当が答えたことを記憶している。

この物件は今年4月竣工になった。しかし、売れ行きは建設中から芳しくない…販売戸数120戸で、4カ月を過ぎて、おそらく3分の1くらい売れ残っているのだろう。
週末にはこの猛暑の中、何人もの営業マンがプラカードを持って交差点に立っていた…

このような状況は、上記の物件だけでは無い。すぐ近くにも、同規模、同様コンセプトのマンションが2棟も建設中である。
また私の事務所がある千葉みなと周辺も、マンション建設ラッシュが続く…今年に入り竣工した物件は、やはり同じように売れ残っているようである。

ご存じの方もいるだろうが、新築分譲と言っても完成後しばらく買い手の付かなかったものは「新築未入居」という売れ残り物件であり、デベロッパー側が値下げせざる得ない。
早く売りさばいて、販売促進の余計な経費を無くしたいと考えるから焦る…それでも売れ残った竣工後2年を経過した物件は、「新築」の表示ができなり「中古」の扱いになるのである。当然のことながら販売価格は、新築時と比べて格安にせざる得ない。

こうして、一企業の杜撰な事業企画から新築分譲マンションは格安に販売され、その周辺の既存マンションの資産価値が下落するのである。
何と理不尽な話であろうか…

デベロッパーが損出を抱えようが、倒産しようが、それはその企業の問題である。
しかし、現在起きている状況は、多くの企画の段階から事業計画が杜撰で、地域社会にとって利することなどほとんど無い状況のようである。
いいところ、コンビニなどが工事関係者の利用で一時的に繁盛するくらいである。
住環境の悪化、急激に生じる人口過密の問題、学校、ゴミ、駐車場、防犯、そして景観の問題… 多くのデベロッパーが街を創るという考えをほとんど持たない。
とにかく土地を取得して、旧来通りの手法、企画で新しいマンションを建てて、売ってしまえばOK!それが企業利潤の追求であり会社存続のための手段らしい。
でもいくら資本主義経済国の企業と言えども、こんな身勝手な業態は21世紀の社会に無用であろう。

マンションデベロッパーの社会的な役割は、疾うの昔に終わっているのだと思う。
バブル崩壊後に、不動産・建設業界は抜本的な構造改革をしなければならなかった。
だが、政官財界の諸事情により大幅には変えることができなかった。 そして公共事業の削減、長引くデフレ不況によって、この業界はもがき苦しんだ。しかしマンション建設が延命してきたと言ってもの過言では無いだろう。
一刻も早く、この業界は今の偏った業態から抜け出さねば、多くの企業が共倒れし、日本経済に大きな支障をきたす事になると危惧する。目先の利益を追い求める時代は終わったと考えるべきであろう。

今後は、新築マンションができた数だけ、中古のマンションが余っていき、老朽化が加速するのである。 地球環境的な観点からも大きな無駄である。
そしてこの老朽化した大量のマンションをどうすべきか… そろそろ、真摯に考えを導かなければ、近い将来大変なことになるだろう。
マンションデベロッパーはこの考えに沿って、事業を転換して行かなければ生き残れないと考えるが…


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新潟県中越沖地震に想う
また新潟で大きな地震が起きてしまった。
被災された方々に、心よりお見舞い申し上げたい。

まだ被害の全容は分からないが、1日経過して死者9人、重軽傷者1000人以上、家屋も全壊300棟以上との甚大な被害の情報が流れている。

今年3月に発生した能登の地震でも、テレビなどで古い木造家屋の全壊した様子を映し出していたのを思い出される。
今回の地震でも、テレビから流れる映像を見て、揺れの激しさがひしひしと伝わり、そこで生活していたであろう人々を思うと、あまりの無惨さに言葉も出ない。
そして、古い木造家屋の脆さ、危険さをまざまざと見せつけられたように感じた。
また、今回の地震で感じたことは、倒壊した家屋が街路や隣家に被害を与えている状況がかなりありそうであることだ。そして、住宅に付属するブロック塀や石積みの塀の倒壊、商店街のアーケードの破損などである。自分や家族が被災するだけでなく、たまたま通りかかった人を巻き込むことを十分考えたい。行政も早急に対応すべきである。

とにかく、この日本では、地震は何時何処で発生するか分からない。
自分の住まいが地震に対して危険か安全か…それを知ることがとても大切である。危険であれば全壊しないための対策を、簡易的にでも講じることが肝要である。
これまでにも、このブログなどで耐震診断の必要性を強く訴えてきたが、多くの人が他人事と考えず、できるだけ早く対応して欲しいと思う。

なお、住まいの耐震性に心配のない人は、少なくともタンスや食器棚などの転倒が起きないよう、日頃より準備しておくことを勧めたい。
突っ張り棒などの固定金物などはかなり普及したことと思う。注意したいのは、吊り戸などの開き戸が開いてしまい、中の収納物が飛び出してくることである。開放防止の金物などで止めるだけでも食器などの破損が少なくて済む。飛散した食器やガラス等で怪我をするケースが非常に多いことから是非とも対応して欲しい。


被災地は、いまだに大きな余震も続いているようだ。
とにかく二次被害が広がらないように祈る。

そして迅速で暖かな支援と早期の復旧を願う。



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改正建築基準法
先日、6月20日から施行される改正建築基準法の講習会に参加した。
定員600人のホールは満席であり、昼から休憩時間無しの2時間半の講習であったが、途中退席や居眠りしている人がとても少ない、希少な(?)講習会であった。(苦笑)
それだけ、我々の業務に多大な影響を与えることになる改正である。

実は今年3月に建築家協会(JIA)の説明会にも参加したのであるが、その時はまだまだ詳細が見えていなくて、霧の中にいるようであった。
それが5月の半 ばを過ぎた頃より、具体的な内容が分かり始めて正直驚いた次第である。

今回の建築基準法等の大きな改正は、建築確認・検査の厳格化である。
その目的はご承知の通り、対審偽装事件の再発防止と法令遵守を徹底することにより、建 築物の安全性に対する国民の信頼回復である。

私どもではこれまで、建築確認・検査制度の曖昧さや欠陥などを承知の上、建築基準法を遵守してきた。確認申請をし、まともに現場監理を行い、完了検査を受け、合格したものを建築主に引き渡してきた。それが建築の設計を生業とする我々の最低限の努めであると考えていた。 ザル法と揶揄されてきた建築基準法であるけど、建築主の要求であっても違法になるような設計はしないし、工事もさせないよう、それを守ることが建築主のモラルだと逐一説明してきた。 それだけに、今回の改正は望むところであるし、歓迎したいと思っていた。

ところが、確認申請や完了検査の審査過程で、個々の建築物の審査で本当にできるの?と言うような細則があるのである。 あまりにも短い期間での施行であり、拙速であったのではないかと思っている。 当面は審査業務が大混乱することが避けられないであろう。


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超高層マンションから景観を考える
宇治の平等院鳳凰堂は言わずと知れた国宝であり、「古都京都の文化財」の一つでもある世界遺産である。
私も遙か昔(苦笑)…建築を志す前に2度の修学旅行で京都を訪れたが、
この鳳凰堂の美しさは、他の寺社仏閣から抜きに出て強く印象に残している。

この鳳凰堂は東を向き、阿字池の対岸からみる姿が一番美しいし、切手やガイドブックなどに表されているのもこの構図であり、1000年の悠久の時を刻んできた世界に誇れる景観でる。ところが、先日の読売新聞にはこの方向から見る鳳凰堂の背面に民間の高層マンションが見えるというなんとも情けない記事が載っていた。
もちろん景観論争のことであるが、これは10年ほど前に平等院の裏手に15階建てのマンションが建ち、鳳凰堂の背景に入ってしまい創建当初からの風致が大きく損なわれたため、景観保全の論議を呼んだものである。
それだけに昨年からの京都市の景観規制は遅きに逸した感があるもの、大きく評価したいと思う。

景観の話をするとまたもや景観先進国であるヨーロッパとの比較になるが、これはもはや行政の不作為だけではない。
多くの日本人が、文化や歴史を大切にし、後生に伝えるという意識が欠落しているのであろう。
そして需要があれば、社会的な正義やモラルも無視する利益最優先のデベロッパーと、そこに集う建設関係者。さらに一番問題なのは、売っているものを自分の金を出して買うのが何故悪い?買った者の権利、所有者個人の財産である…と言った回りに対する気遣いなど無関心な風潮。
国立のマンション訴訟でも係争中でも売れてしまう現実…そこには社会的なモラルなど無い。手前勝手な事実だけである。



一年前までは快晴の朝夕に、5階にある私どもの事務所からも富士山と海が望めたのだが…


近年、私どもの事務所のある千葉港のエリアでも、住民エゴのむき出しの争議を度々目にする。
1995年以降の時期からこのエリアで建設された高層マンションは、海や富士山が見える眺望の良さを売りに販売された。 ところが、この湾岸地区の用地活用に時代の変化が押し寄せ、海岸寄りに次々にと新たにマンションが建設されているのである。これまで眺望を自慢していたマンション住民にとって、目の前に視界を遮る新しいマンション出現は承伏できないようであり、「景観を損なうな!」とか「眺望を奪うな!」とかの自分本位な要望をデベロッパーにぶつけるのである。

さて、千葉市の中心部でも42階建ての初の超高層マンションが着工した。周辺住民やこの地域に毎日通う人々にとって、これまで見えていた景色はどのくらい削られるのだろうか? せめて、この新たに誕生する建築物が多くの人にとって受け入られるデザインであって欲しいと願う。
大規模な構造物や超高層ビルは膨大な人々に長い間見られ続けるのであるから…美しくない巨大なものを見続ける日常は勘弁して欲しいと思う。
超高層マンションの解体費用は誰が負担するのか?



前回は超高層マンションが永住に向いているかどうかをメリット、デメリットに分けて考えてみた。
今回はこの超高層マンションが耐用年数を過ぎた後にどうなるのか思うことを述べたい。

超高層ビルとは、建築基準法上では高さ60mを超える建築物をいい、一般的には100mを超す高さのビルで、最近のマンションの場合では概ね20階建て以上を指すようである。
この高層ビルは、適切なメンテナンスを行えば100年以上の耐久性もあるといわれている。
現にアメリカで建設が始まった1900年初頭の高層ビルは、そのほとんどが現存している(※1)。

そのためなのか、マンション販売者も建設会社も建物の寿命について明確に回答しているところはない。
解体することは、技術的に可能であると考えられているが、その費用や工事期間、周辺や環境に与える負荷はほとんど分からないのが実情である。
しかしながら、形あるものは必ず寿命がある。まして、地震が頻繁にあり、高温多湿な日本の風土では、欧米の建物と同じように考えるわけにはいかない。


超高層マンションに永住できるか?



近年都心部で大量供給されている超高層マンション。
都心回帰の流行からと、企業のリストラによる保有地の大量放出も手伝い、デベロッパーは次々に開発してきた。
千葉市でも43階建ての物件が建設中である。
さて、はたしてこの日本でこの集住スタイルは妥当な選択なのだろうか?

まず永住した場合のメリット考えてみる。

①眺望の良さ・・・
やはり一番の特徴は非日常的な眺望であろう!
超高層部分から眺める富士山や夜景などやはり格別だから…

②都市中心部に住まいを持てるステータスと便利さ ・・・
ステータスは別として、便利さはとても魅力がある。車を使わずにショッピングに行き、映画を見て…酔って帰るときも徒歩で帰れるかも…(笑

③セキュリティーとプライバシーの良さ、静かであること・・・
確かに入り口には管理人が常駐し、簡単にエレベーターに乗れなければ安心である。外部からの侵入もスパイーダーマンくらいしかできないであろうし…

④20階以上の分譲住宅「超高層住戸」の中古販売価格が下がりにくい ・・・
これは不動産取引上の統計データがある。しかし、希少価値である要因が大きく、今後さらに「超高層住戸」が供給されることから、現状を維持できるかは不明である。永住目的ではあまり関係ない要素である。

⑤構造がしっかりしていて地震に強く安心
免震や制震などの新技術があるが、まだ分からないことが多すぎる。デベロッパーの営業は耐震性を売りにしているようだが、最近は必ずしも他の建築物と比較して特別に優位な状況にあるとは思えない。そのわけは下記を参照されたい。
ガンバレ!銚子…



4年ぶりに銚子を訪れた。
この銚子は街並みに余裕があって、港町の雰囲気も感じられ、私の好きな街である。
銚子に縁もゆかりも無いが…苦笑

JR駅周辺から銚子港あたりの中心部はあまり変わっていないように感じた。
土曜日であったが、駅前は閑散としていた。港の方が観光客などが多く、少しは賑わいを感じられた。
もちろん、多くの地方都市が抱える不景気の煽りはこの街も同様であろう。
少子高齢化による人口の減少と産業構造の変化、都市と地方の格差などの影響により商店街が衰退しているようだ。
銚子は、漁業や水産加工業、醤油醸造などの産業がある。そして海を主体とした観光にも恵まれてきた。他の特徴があまりない多くの地方と比べれば、とても恵まれている方だと思える。それだけにこの町がこのまま衰退していくようであれば、何もない地方はお手上げになるだろう。
是非とも活力を取り戻し、銚子ブランドを打ち立てて欲しいと願う。

さて、いま銚子の街で一番心配なのは、銚子電鉄ではなかろうか。
JR銚子駅から東へ向かい、銚子半島を半周して終点の外川(とかわ)駅までを結ぶ全線で6.4kmととても短い私鉄ローカル線である。
昨年、国土交通省から改善命令を出されたが、長い間の赤字経営と前社長の個人的な横領により資金難に陥り、老朽化した鉄道設備の改善ができず、存続が危ぶまれた。
この存続危機に、各地から支援の輪が広がり、名物である「濡れせんべい」などが相当数売れることとなり、当面の危機は回避できた。 しかし、鉄道事業自体の採算が合うわけでもなく、加えて自治体や国からの補助金がなくなるなど困難が増すばかりで、危機が解消したわけではないようだ。社員がローカル鉄道維持の難しさをネット上で赤裸々に訴えているので、その状況はとてもよく分かる。

これからも銚子電鉄は走り続けます!http://chodenshop.com/greeting.htm 銚子電鉄サポーターズ http://love.ap.teacup.com/cdksientai/

私もその日は、JR銚子駅から犬吠までの往復乗車をしてみた。
車掌さんが
車両を利用して宅配便を運んでいた…犬吠の駅から依頼された宅配便を車内に積み込み、観音という駅で女性の駅員が手伝って下ろしていた…多少の時間の遅れなど誰も気にしていなし、その必要もない。のどかな時間を感じることができた。
あなたも、濡れセン片手に春のキャベツ畑を走る銚子電鉄に乗ってみては如何であろう。
三信ビルの最後に…


昨日、閉鎖間際の三信ビルに漸く行くことができた。
午前中の打合わせが突然延期になり、時間を作ることができたので、プレゼン材料の買い足しの口実も作り、急遽日比谷まで車で出掛けた。

三信ビルには11時半頃着き、ちょっと早いが唯一テナントして残っていたニューワールドサービルで昼飯を食べるためにアーケードに入る。
思った以上に多くのお客が早くから詰めかけ、店内は満席で10人くらいが店の前で列んでいる。ここまで来て時間を気にしても仕方ないので、57年の歴史を味わいながらランチを食べるために列ぶことにした。
しばらくして、友人Fさんから携帯にメールが入り、外回り中で昼飯ついでに三信ビルに行くとの知らせ…久しぶりの再開が三信ビルで一緒に昼食という偶然に驚いたと同時に、ここにも物好きがいたと嬉しくも感じた。(笑)

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三信ビルは、日比谷公園側から仮設シートが順次掛けられ、いよいよその時が間近であることを否応なく意識させる。

私は、日比谷通りのスカイラインが学生の頃から好きだった。
通り沿いに水平のラインが綺麗に揃っていて、反対側は皇居であり、日比谷公園で、その対比を美しく感じた。これが日本の中心の都市景観だと誇らしくもあった。
しかし、今となっては、この水平ラインを大きく突き抜けて超高層ビルがどんどん増殖し、美しいスカイラインは消滅したと言っていい状況である。
経済的な事情は重々理解できるが、何とも遣り切れないない気持ちである。 そして、今回の三井住友銀行本店と三信ビルの再開発である。日比谷も有楽町も銀座もものすごい早さで街並みを変えていく…。丸の内は様変わりしてしまった…。

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今となっては、三信ビルの保存再生は、所有者である三井不動産の英断を祈るしかない状況に変わりない。
三井住友銀行本店と三信ビルの総合的な再開発が主目的で、それを達成するための緩和条件として外観の一部などを保存する…そんな中途半端な手法を使うことだけはやめてもらいたい。

この三信ビルの他にはない独特な雰囲気を持った素晴らしいアーケードを残すことができなければ意味がない。
78年の歴史を人々の胸に刻み込み、潔く解体してしまうのも日本的かもしれない。
…見頃になった桜を合わせながらそんなことを想った。

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耐震診断のすすめ



昨日、能登半島で大きな地震が起きた。
石川県輪島市などで震度6強と大きく揺れた模様で、被害も死者1名、重軽傷者196名。建物は全壊55棟、半壊が139棟と発表されている。
迅速で暖かな支援と早期の復旧を願う。

私が学生時代、関西や九州出身の友人達は、震度2や3くらいの地震で、非常に怖がっていたことを思い出す。なぜなら、関西や山陰、九州地方は地震が少なく、揺れを体験した経験が少ないからである。
しかし、阪神淡路大地震をはじめ、00年の鳥取県西部地震や、04年の新潟県中越地震、05年の福岡県西方沖地震。そして昨日の能登半島の地震…今まであまり大きな地震発生を聞いたことない地域で起きている。
文部科学省の地震調査研究推進本部(http://www.jishin.go.jp/main/)が公開してる「地震動予測図」では、この地域での30年以内に震度6弱以上の地震が起こる確立を、0.1%未満としていた。
これらのことから、日本はまさに地震国であり、どこに住んでいたとしても地震の被害から避けられないものだと、改めて認識させられる。

さて、先日のブログでも、古い木造住宅の耐震改造の必要性を書いた。
昨日の地震の報道でも、木造住宅の全壊した様子を映し出している。揺れの激しさがひしひしと伝わり、そこで生活していたであろう人々を思うと、あまりの無惨さに言葉も出ない。
全国の木造住宅の4戸に1戸は、耐震強度が不足していると思われる。 この際である、是非とも一度、早い内に耐震性に問題有る無しをチェックすることをお勧めする。
戸建て木造住宅の場合は、インターネット上でも一般の方が簡単にできる簡易耐震診断があるので、これを利用すると良い。もちろん多くの市町村ではこれと同様のパンフレットを配布していて、誰でも簡単にできるはずだ。

 「誰でもできるわが家の耐震診断」
(財団法人日本建築防災協会) http://www.kenchiku-bosai.or.jp/wagayare/taisin_flash.html

この簡易診断の結果、再度専門家の診断が必要との判定がでた場合は、市町村の相談窓口や建築士会、設計事務所などに相談することをお勧めする。
その際、くれぐれも悪徳なリフォーム業者などに、つけ込まれないよう十分注意してほしい。

とにかく、地震は何時何処で発生するか分からない。地震予知の進歩は望むところであるが、現状ではまだまだ難しい。
自宅が地震で倒壊しても、その責任は全て所有者本人になる。そして、自分や家族の身を守るのは、結局は自分自身である。 それだけに地震にも日頃から備えて欲しいと願う。