FC2ブログ
建築家・飯沼竹一のブログです。暮らしや住まい、家や建築、街などを通して見聞きしたこと、日々感じたこと、考えたことなどを気儘に手記にしています。四方山話も含めて呑気に続けて行こうと思います。 ご意見ご感想などお願いします。
大地震に不安な建物の進まない耐震改修…



前々回のブログで「欠陥住宅はなぜ無くならないのか」 と題して欠陥住宅の具体例などを書いた。特別に不安を煽ったわけではないのだけども(…苦笑)、読者の方から不安である旨のコメントや相談をメールでいただいた。
内容は木造戸建て住宅の耐震性に疑問を持っている方たちで、具体的には3名の方に、誰にでもできる簡易耐震診断を紹介した。

結果、3名の方の住宅ともに、問題無しであったようで、私としてもホッとした次第である。(笑) なお、この3名の方の住宅は1981年(昭和56年)5月以降に建てられた住宅であった。

この診断方法は、インターネットでできる「誰でもできるわが家の耐震診断」という簡易診断である。
財団法人日本建築防災協会という公益法人のサイト上でサービスしている。戸建て木造住宅に住まいの方は是非一度、ご自身で診断することをお勧めする。http://www.kenchiku-bosai.or.jp/wagayare/taisin_flash.html


それにしても、問題となる1981年5月以前に建てられた旧基準の住宅の耐震改修の実施済み戸数が伸びていない。

現行の耐震基準に不適合で耐震補強が必要とされる住宅は1,400万戸もあり、その大半が木造住宅だとされている。早い話が1,000万戸近い木造住宅が大地震が起きたときに倒壊などの大きな被害を受けると危険視されているのだ。

ちなみにマンションおいても同様で、耐震改修工事を済ませたものは、まだまだ少数である。
一昨年の暮れに耐震強度偽装事件が大問題になったが、これらの旧基準の建築物は、構造計算の偽装はなくても、現行の耐震基準を満たしていないのである。 本来であれば国交省がもっと危険なことを周知し、少なくとも耐震診断を行うことを義務づけるべきである。でなければ例の耐震強度偽装事件で強度不足のマンションやホテルを使用禁止にし、建て直しを命じた措置は二重基準になってしまう。
まぁ、この問題は別の機会に取り上げるとして、話を戻す…。

阪神大震災を契機に、1995年(平成7年)12月25日に施行された、「建築物の耐震改修の促進に関する法律(耐震改修促進法)」では、1981年5月以前に建てられた現在の新耐震基準を満たさない建築物について積極的に耐震診断や改修を進めることが求められている。この法律により各自治体などで耐震診断の助成や、住宅公庫などによる改修費の融資額拡大など、いろいろな施策を進めてきたのだが、現状はなかなか進んでいない。

2004年10月の新潟県中越地震では、その被害の大きさ、多さなどから、我々に耐震改修の必要性をまざまざと見せつけた。
しかし多くの人の関心はあっという間に無くなったようで、千葉市の建築指導課によれば、この地震直後からしばらくは、住宅の耐震診断の問い合わせが一時的に増えたそうだが、半年ほどで元の低調な数に戻ったという状況を聞いた。おそらくこれは千葉市に限ったことだけではあるまい。

一建築家からみると、ごく一般的な古いビルや木造住宅は、大地震にはとても耐えられそうにないものが街中に多数あることが心配である。ビルの屋上の高架水槽や袖看板なども多くのものが問題を持っている。2005年におきた福岡県西方沖地震では、ビルの窓ガラスが割れて落下したり、住宅街のブロック塀など強度不足のものが破壊された。幸いにも休日早朝の発生だったためか人的被害は無かったようだが…

このような状況下、私は考える。
1981年5月以前に建てられた建築物の耐震診断を義務づけて、それを報告する。そして、補強が必要な建築物については、早急に耐震補強などの対策をするよう勧告し、資金等をサポ-トする。このような施策が必要なのではないか…。地震発生後の被災者や被災建物の対策についても対応が急がれるが、まずは予防が大切である。

兵庫県南部地震(阪神大震災)、新潟県中越地震、福岡県西方沖地震…地震はどこにでも起こるもので、この日本に住んでいる以上さけられないものだと痛感する。
そして、何時おこるか分からないのも地震である。
こと関東大地震や東海大地震は、誰にとっても人ごとではないはずだ。
「備えあれば、憂いなし…」。みなさんも人任せにせず、住まいや日頃利用する建物や施設について考えてみていただきたい。
自分や家族の身を守れるのは、結局は自分自身なのだから。
スポンサーサイト